HEAT20のG2グレードとは?基準やG1・G3との違いを分かりやすく解説

家づくりをしていると「HEAT20」「G1・G2・G3」などのワードを目にする機会があると思います。

これらは住宅の断熱性能に関連する言葉で、これから家づくりをするなら知っておくべき内容です。

 

そこで今回は、HEAT20の概要やG1・G2・G3それぞれの評価基準などを解説します。

断熱性能が高い住宅を建てたい方や住まいを快適にしたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

<コラムのポイント>

  • HEAT20では断熱性能を高める住宅シナリオを提案しており、「G1・G2・G3」の3つのグレードに分けて評価基準を設けています。
  • HEAT20のG1・G2・G3グレードは暖房期の室温や省エネルギー性で評価され、UA値はZEHよりも高い基準です。
  • 住宅会社によっては対応不可の場合もあるため、G1・G2・G3の施工実績が豊富な会社に家づくりを依頼しましょう。

 

HEAT20(ヒート20)とは

HEAT20とは

HEAT20とは「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称名です。

2020年7月22日に設立され、住宅性能を高めるための研究や開発、高断熱住宅の普及定着のために活動しています。

 

ZEHのような住宅の一種と勘違いしがちですが、「HEAT20」は法人団体の名前です。

HEAT20は断熱性能に関する住宅シナリオを提案しており、条件を満たした設計・建築・申請をすることで「HEAT20の認証住宅」と認められます。

 

HEAT20が提案する住宅の評価概要

HEAT20の評価概要

では、HEAT20が提案する住宅シナリオを確認しましょう。

次の4つが評価内容です。

 

  1. 【NEB:室温】暖房期最低室温(OT)・3%タイル値
  2. 【NEB:室温】暖房室温(OT) 15℃未満の面積比割合
  3. 【EB:省エネルギー】平成28年省エネ基準からの暖房負荷削減率
  4. 【EB:省エネルギー】 平成28年省エネ基準における間歇暖房時の暖房負荷に対する全館連続暖房としたときの暖房負荷削減率

 

具体的な基準値は次章で解説しますので、まずは概要を理解しましょう。

それぞれの内容を分かりやすく解説しますので、チェックしてみてくださいね。

 

ちなみに、HEAT20は外皮熱貫流率(UA値)の基準も提示していますがあくまで目安であり、基本的には上記の4点が評価のポイントになります。

 

①【NEB:室温】暖房期最低室温(OT)・3%タイル値

暖房期最低室温(OT)とは、冬場などの暖房する時期の最低室温に関する基準のことです。

最低室温を設定することで、暖房をしていない部屋の結露防止や各空間の温度差の軽減を実現できます。

建物全体で温度差が少ない家は、快適性が高まるのはもちろん、ヒートショックなどの健康リスクも軽減することが可能です。

 

②【NEB:室温】暖房室温(OT) 15℃未満の面積比割合

暖房室温(OT) 15℃未満の面積比割合は、住宅内部で15℃未満となる時間・面積が全体のどのくらいを占めているかの基準です。

例えば、最低室温の基準を満たしていたとしても、ギリギリの数値では住まいやご家族の健康は保てません。

HEAT20は、室温が低い時間が短いだけでなく、空間ごとの温度差が少ないことが重要と考え、こちらの基準が設けられています。

 

③【EB:省エネルギー】平成28年省エネ基準からの暖房負荷削減率

平成28年に制定された省エネルギー基準の住宅と比較して、どのくらい暖房負荷を削減できるかの基準を定めています。

暖房負荷とは、室内を一定の温度に保つために必要な熱量のことで、削減することで家庭の消費エネルギー量を抑えることが可能です。

 

④【EB:省エネルギー】 平成28年省エネ基準における間歇暖房時の暖房負荷に対する全館連続暖房としたときの暖房負荷削減率

HEAT20は、全館を連続で暖房したときの暖房不可削減率にも基準を設けています。

全館連続暖房すれば室温は保つことができますが、省エネルギー性ではないという考え方もありますよね。

こちらの基準を満たすことで、ランニングコストを抑えつつ全館が快適な室温の住まいの実現が可能です。

 

HEAT20は住宅をG1・G2・G3のグレードに分類

G1・G2・G3

ここまでご紹介した4つの基準は「G1・G2・G3」のグレードに分かれて評価されます。

数字が大きくなるほど基準が厳しくなり、G3グレードが最も断熱性能が高いです。

 

日本は地域によって温度差が激しいため、地域を区分化してそれぞれの基準を定めています。

まずは、ご自身の建築エリアの地域区分を確認し、その後でHEAT20の評価基準を確認しましょう。

 

地域区分

気候条件を加味して日本全国を8つに分類したものが地域区分です。

数字が小さいほど寒冷な地域、大きいほど温暖な地域という意味をもちます。

 

【主な該当都道府県】

地域1・2 北海道
地域3 青森県・岩手県・秋田県
地域4 宮城県・山形県・福島県・栃木県・新潟県・長野県
地域5・6 茨城県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・富山県・石川県・福井県・山梨県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県・滋賀県・京都府・大阪府:兵庫県・奈良県・和歌山県・鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・
地域7 宮崎県・鹿児島県
地域8 沖縄県

 

実際には市町村ごとに設定されているため、上記に掲載されている都道府県と建築エリアの地域区分が異なるケースもあります。

詳しくはこちらで確認してみてくださいね。

参考:地域区分新旧表|国土交通省

 

ご自身の建築エリアの地域区分が確認できたら、G1・G2・G3の具体的な基準を確認していきましょう。

 

G1・G2・G3の室温基準

先ほどご紹介した、室温に関する2つの評価基準についてご紹介します。

 

①【NEB:室温】暖房期最低室温(OT)・3%タイル値

冬場など暖房する時期の最低室温の基準です。

1・2地域 3~6地域 7地域
平成28年
省エネ基準
概ね10℃を下回らない 概ね8℃を下回らない
G1 概ね13℃を下回らない 概ね10℃を下回らない
G2 概ね15℃を下回らない 概ね13℃を下回らない
G3 概ね16℃を下回らない 概ね15℃を下回らない 概ね16℃を下回らない

 

群馬県伊勢崎市が該当する「5地域」でG2グレードを満たすには、暖房期の最低気温が「概ね13℃を下回らない」ことが条件です。

省エネ基準と比べて約5℃の差がつくため、快適な室内温度が保たれることが予想できます。

 

②【NEB:室温】暖房室温(OT) 15℃未満の面積比割合

住宅内部で15℃未満となる時間・面積が全体のどのくらいを占めているかの基準です。

1・2地域 3地域 4地域 5~7地域
平成28年
省エネ基準
4%程度 25%程度 約30%程度
G1 3%程度 15%程度 約20%程度 15%程度
G2 2%程度 8%程度 約15%程度 10%程度
G3 2%未満 5%程度 2%未満

 

群馬県伊勢崎市が該当する「5地域」でG2グレードを満たすには、暖房室温15℃未満の面積比割合を10%程度に抑える必要があります。

 

G1・G2・G3の省エネルギー基準

続いて、省エネルギーに関する2つ項目の具体的な基準を確認しましょう。

 

③【EB:省エネルギー】平成28年省エネ基準からの暖房負荷削減率

省エネ基準の住宅と比較して、どのくらい暖房負荷を削減できるかを定めた基準です。

1・2地域 3地域 4地域 5地域 6~7地域
G1 約20%削減 約30%削減 約35%削減 約45%削減 約40%削減
G2 約35%削減 約40%削減 約50%削減 約60%削減 約55%削減
G3 約55%削減 約60%削減 約70%削減 約80%削減 約75%削減

 

群馬県伊勢崎市が該当する「5地域」でG2グレードを満たすためには、省エネ基準の住宅と比べて約60%暖房負荷を削減する必要があります。

住宅の断熱性能を高めるなど、少ないエネルギーで空間を暖められるような工夫をしましょう。

 

④【EB:省エネルギー】 平成28年省エネ基準における間歇暖房時の暖房負荷に対する全館連続暖房としたときの暖房負荷削減率

全館を連続で暖房したときの暖房不可削減率に関する基準です。

1・2地域 3地域 4地域 5地域 6・7地域
G1 約10%削減 約5%増加 約35%増加 約15%増加 約50%増加
G2 約25%削減 約20%削減 平成28年レベルと概ね同等のエネルギーで全館連続暖房が可能
G3 約50%削減 約45%削減 約40%削減 約55%削減 約40%削減

 

群馬県伊勢崎市が該当する「5地域」でG2グレードを満たすためには、省エネ基準の住宅とほぼ同じエネルギー量で全館連続暖房を可能にする必要があります。

 

UA値から見るG1・G2・G3の基準

G1・G2・G3のUA値

G1・G2・G3グレードの目安として「UA値」という断熱性能を表す数値が設定されています。

UA値の概要と具体的な数値を確認しましょう。

 

UA値とは

UA値とは外皮平均熱貫流率のことで、建物からの熱の逃げにくさを表した数値です。

屋根・天井・外壁・窓・床から逃げる熱を加算した上で、住宅の外皮全体の面積で割ることでUA値を算出できます。

UA値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高い住宅です。

 

G1・G2・G3と省エネ基準のUA値

G1・G2・G3と省エネ基準のUA値の基準を確認しましょう。

1・2地域 3地域 4地域 5地域 6・7地域
省エネ基準 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87
G1 0.34 0.38 0.46 0.48 0.56
G2 0.28 0.28 0.34 0.34 0.46
G3 0.20 0.20 0.23 0.23 0.26

※単位は[W/(㎡・K)]

群馬県伊勢崎市が該当する「5地域」では、省エネ基準とG2グレードのUA値の差は0.53W/(㎡・K)であり、大きな断熱性能の違いがあることがわかります。

 

HEAT20が提案する住宅とZEHなどを比較

HEAT20とZEH

HEAT20が提案するG1・G2・G3グレードと他の住まいを比較してみましょう。

UA値で比較すると、G1・G2・G3グレードは次のような位置付けです。

UA値が低い

 

 

UA値が高い

断熱性能が高い

 

 

断熱性能が低い

HEAT20のG3
断熱等級7
HEAT20のG2
断熱等級6
HEAT20のG1
断熱等級5・ZEH
断熱等級4(平成28年省エネ基準)

 

HEAT20の中では下のグレードであるG1でも、ZEH基準のUA値よりも低い数値が設定されています。

つまり、HEAT20のG2・G3グレードの基準は、現時点では国内で最高水準の断熱性能です。

 

HEAT20のG2グレードの家を建てるメリット・デメリット

G2グレードの家

HEAT20のG2グレードを満たすメリット・デメリットをご紹介します。

 

メリット

HEAT20のG2グレードを満たす住宅には、次のようなメリットがあります。

 

  • 住まいの快適性が高まる
  • 冷暖房費が削減できる
  • 温度差による結露発生のリスクを下げることができる

 

高い断熱性能を持つG2グレードの住まいを建てることで、季節を問わず心地良い室温で過ごすことが可能です。

HEAT20は暖房期の室温のみ基準を設けていますが、もちろん夏場の快適性も高まります。

 

少ないエネルギーで室内を快適にできるため、冷暖房費の削減ができる点もメリットです。

また、結露発生の抑制にもつながるため、カビの発生を防いで住まいやご家族の健康を守ることにもつながります。

 

デメリット

HEAT20のG2グレードを満たす住宅のデメリットも確認しておきましょう。

 

  • 建築費用がアップする
  • 対応できない住宅会社もある

 

断熱性能を高めるために、高性能なサッシや断熱材を使うことで、建築費用が上がるケースがほとんどです。

ベースの断熱性能が低い住宅会社の場合、大幅な費用追加になるリスクがあるため注意しなければなりません。

 

また、中にはHEAT20のG2グレードに対応できない住宅会社もあります。

実績が豊富な住宅会社に依頼することで、確実に基準を満たしたG2グレードの家を建てることができますので、事前に確認しておくことが大切です。

 

G2グレードの基準を満たした施工事例をご紹介

ハグデザイン施工した、HEAT20のG2グレードを満たした住まいをご紹介します。

 

①大きな吹き抜けのある住まい

HEAT20 G2グレードの住まい

大きな吹き抜けがある開放感のある住まいです。

室内の温度差が少ないG2グレードの家では、壁や天井などで細かく空間を仕切らなくても、家中快適な温度を保つことができます。

▷施工事例:群馬県前橋市|HEAT20 G2classの家

 

②大開口の窓がある住まい

大きな窓が並ぶHEAT20のG2グレードの家

LDKに大きな窓が並ぶ、開放的で明るい住まいです。

断熱性能の高いサッシの採用や他の窓の大きさを調整するなど様々な工夫で、G2グレードの住まいが実現しました。

▷施工事例:群馬県前橋市|大きな窓と下屋を複合した省エネ住宅

 

まとめ

住宅の断熱性能・省エネ性能を高めることは、居心地の良い快適な住まいにするために必要なことです。

HEAT20のG2グレードを採用することで、快適でお財布にも優しい住まいを建てることができます。

G2グレードの施工実績が豊富な住宅会社に家づくりを依頼し、デザイン性や間取りに加えて住宅性能にもこだわったマイホームを建築しましょう。

 

ハグデザインでは、HEAT20のG2グレードを実現する高断熱な住まいを建築可能です。

経験豊富な一級建築士が、お客様の暮らしに寄り添った住まいをご提案しますので、ぜひお気軽にご相談くださいね。

▷ハグデザインの断熱性能について

▷ハグデザインの家づくりへの想い

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