ビルトインガレージは建ぺい率・容積率に影響するのか|緩和措置や計算方法も

ビルトインガレージは壁に囲まれた空間ですが、建ぺい率や容積率にはどのように影響するのでしょうか。

建築地が決まり、ビルトインガレージの間取りを考え始めたら、建ぺい率・容積率の制限をクリアできなかったという失敗は避けたいですよね。

 

そこで今回は、ビルトインガレージの建ぺい率・容積率への影響について、分かりやすく解説します。

それぞれの緩和措置や計算方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

<コラムのポイント>

  • 壁で囲まれた空間であるビルトインガレージは、建ぺい率・容積率のどちらにも影響します。
  • ビルトインガレージは容積率の緩和措置を受けることが可能です。
  • 様々な建ぺい率・容積率の敷地にガレージハウスを建築している、実績のある住宅会社に相談することをおすすめします。

 

ビルトインガレージとは

ビルトインガレージとは

ビルトインガレージとは、建物の一部をガレージにした間取りのことです。

単独のガレージとは異なり、ビルトインガレージと居住スペースはつながっているため、空間を直接行き来できます。

ビルトインガレージのメリット・デメリットを確認しましょう。

 

メリット

ビルトインガレージは次のようなメリットがあります。

  • 愛車の盗難・いたずらを防ぐことができる
  • 雨風や雹害から愛車を守れる
  • 愛車が汚れにくくなる
  • 雨に濡れずに車を乗り降りできる
  • 存在感のある外観デザインになる
  • メンテナンスなどの作業がしやすくなる
  • タイヤや工具なども一緒に保管できる

 

車好きの方はもちろん、日常的に車を使う方にとっても多くのメリットがあります。

ガレージとしての用途だけでなく、お子さまやペットの遊び場として活用するなど、様々な用途で使える点も魅力的です。

 

デメリット

ビルトインガレージのデメリットも確認しましょう。

  • シャッター・エンジン音が室内に響く
  • 排気ガスが気になる
  • 居住スペースの面積を圧迫する
  • 建築コストが上がる

 

音対策として、隣接する空間の用途を検討したり、静音のシャッターを選んだりするなどの対策が必要です。

また、使い勝手を考えてビルトインガレージと居住スペースをプランニングする必要があるため、設計の難易度も高まります。

詳しくはこちらのコラムをチェックしてみてくださいね。

▷関連コラム:ビルトインガレージの後悔例と対策|音・費用・使い勝手など

 

他にも、ビルトインガレージの分だけ建物の面積が増えることで、建築に関する制限に該当するケースも。

ビルトインガレージの建ぺい率・容積率への影響について、次章から確認していきましょう。

 

ビルトインガレージの建ぺい率への影響

ビルトインガレージの建ぺい率

ビルトインガレージは、建ぺい率にどのように影響するのかを解説します。

 

建ぺい率とは

建ぺい率とは、敷地面積に占める建築面積の割合を示した数値です。

  • 敷地面積=土地の広さ
  • 建築面積=建物を真上から見たときに映し出される部分の面積

 

建築面積は、屋根を外して建物を真上から見たときに、敷地部分が隠れる範囲のことを指します。

つまり、一般的には延床面積には含まれない玄関ポーチや屋根のないバルコニーなども、建築面積には含まれるということです。

 

建ぺい率の計算方法は次の通りです。

  • 建築面積(㎡) ÷ 敷地面積(㎡)×100=建ぺい率(%)

 

例えば、200㎡の土地に建築面積80㎡の建物を建てた場合、建ぺい率は40%です。

 

各自治体によって、土地の用途地域ごとに建ぺい率の上限が定められており、上限を超えるような大きな建物は建ててはいけないという制限があります。

では、ビルトインガレージをつくる際の、建ぺい率への影響を考えていきましょう。

 

ビルトインガレージと建ぺい率の関係性

ビルトインガレージは建築面積に含まるため、大きなビルトインガレージをつくるほど、建ぺい率も高くなります。

 

総二階の建物にビルトインガレージを組み込む場合は、大きな影響はありません。

しかし、下の画像のようにビルトインガレージだけを建物に横付けするような間取り場合は、建ぺい率に影響しやすいです。

建ぺい率に影響しやすいビルトインガレージ

ビルトインガレージがある場合とない場合で、建築面積が大きく変わるからです。

 

ビルトインガレージの設計には、建ぺい率などの制限をしっかりと理解しなければいけません。

ガレージハウスの施工実績が多い住宅会社に相談し、どのくらいのビルトインガレージが建てられるのかを検討してもらうことをおすすめします。

 

車庫に対する建ぺい率の緩和措置

建築基準法では、ビルトインガレージも含む車庫に対して、建ぺい率の緩和措置を設けています。

緩和措置が受けられる車庫の条件は次の通りです。

  • 外壁のない部分が4m以上続いていること
  • 柱の間隔が2m以上あること
  • 天井の高さが2.1m以上あること
  • 地階を除いた階数が1であること

 

一般的なビルトインガレージは、壁で囲まれている空間のため「外壁のない部分が4m以上続いていること」を満たすことができません。

そのため、ビルトインガレージを建てる際には、建ぺい率の緩和措置を受けられないという認識を持っておくと良いでしょう。

 

ビルトインガレージの容積率への影響

ビルトインガレージの容積率

続いて、ビルトインガレージの容積率への影響を考えていきましょう。

 

容積率とは

容積率とは、敷地面積に占める延床面積の割合です。

 

  • 敷地面積=土地の広さ
  • 延床面積=各階の床面積の合計

 

建ぺい率は建築面積だったのに対し、容積率は延床面積で計算します。

 

容積率は次の方法で算出することが可能です。

  • 延床面積(㎡) ÷ 敷地面積(㎡)×100=容積率(%)

 

例えば、200㎡の土地に建築面積が130㎡の建物を建てた場合、容積率は65%です。

 

容積率は2つの数値の内、低い方が適用されます。

  • 用途地域ごとに定められている「指定容積率」
  • 道路の幅員が12m未満の場合に該当する「基準容積率」

 

住宅を建築する前に、どちらの容積率が適用されるのか住宅会社にチェックしてもらってくださいね。

 

ビルトインガレージと容積率の関係性

ビルトインガレージと容積率の関係性を確認していきましょう。

壁で囲まれているビルトインガレージは、床面積に算入されるため、容積率にも影響します。

 

ビルトインガレージが広いほど容積率も高くなるため、事前に施工可能な面積をチェックしておくことが大切です。

ただし、ビルトインガレージの容積率に関しては、緩和措置の対象となりますので次節で確認しましょう。

 

ビルトインガレージは容積率の緩和措置が受けられる

ビルトインガレージを含む「自動車車庫等部分」は、容積率に対して緩和措置が受けられます。

  • 建物における延床面積の5分の1を上限に容積率の計算から控除できる

 

例えば、延床面積が200㎡の建物の場合、床面積が40㎡のビルトインガレージまでは容積率に含めません。

ビルトインガレージが丁度40㎡だった場合、緩和措置あり・なしの容積率の差を確認してみましょう。

【敷地面積250㎡の場合】

  • 緩和措置あり:延床面積(ガレージ分を含む)200㎡ ÷ 敷地面積250㎡ × 100 = 容積率80%
  • 緩和措置なし:延床面積(ガレージ分を除く)160㎡ ÷ 敷地面積250㎡ × 100 = 容積率64%

 

緩和措置を適用することで、容積率が16%も下がりました。

容積率の緩和を受けられると、制限の厳しい敷地でもビルトインガレージがつくりやすくなったり、居住スペースを広げたりすることが可能です。

 

まとめ

ビルトインガレージは、建ぺい率・容積率のどちらにも影響する間取りです。

敷地の建ぺい率・容積率によっては、ビルトインガレージの採用が難しかったり、希望する広さにできなかったりするケースも。

 

ビルトインガレージの施工実績が多い住宅会社は、様々な建ぺい率・容積率の敷地にガレージハウスを建てています。

これまでの経験から、建ぺい率・容積率をクリアして要望を満たしたガレージハウスを提案してくれる可能性が高いため、実績も重視しながら会社選びをしてみてくださいね。

 

ハグデザインは、ビルトインガレージの施工実績が多数あり、一級建築士が敷地の制限等も十分に考慮して空間提案をしております。

所有や検討している土地の建ぺい率・容積率で、ビルトインガレージが建てられるのか気になるという方も、ぜひお気軽にご相談くださいね。

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