「インナーガレージをつくると固定資産税が高くなる」と聞いたことがある方もいるでしょう。
建物の一部がガレージだと利便性やデザイン性が高いですが、固定資産税がかかるなら採用するか迷ってしまうという方もいるかもしれません。
そこで今回は、インナーガレージにかかる固定資産税について詳しく解説します。
インナーガレージの具体的な固定資産税額の算出方法もお伝えしていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
<コラムのポイント>
- 建物の一部とみなされるインナーガレージは固定資産税がかかります。
- 細かな額はインナーガレージの広さや仕様、自治体の判断によりますが、建築費用からおおよその税額を計算することが可能です。
- インナーガレージの施工実績が多い住宅会社に相談し、コストと利便性のバランスを考えながら、後悔のないガレージハウスを立てましょう。
Contents
結論:インナーガレージには固定資産税がかかる
結論からお伝えすると、インナーガレージは延床面積に参入されるため、固定資産税の課税対象になります。
固定資産税は、毎年1月1日現在に土地や建物を所有している人に対して課される税です。
具体的には、下記の3つの条件を満たしているガレージは、建築物の一部とみなされて課税標準額に含まれます。
- 土地への定着性:固定されて簡単に移動できない建築物
- 外気分断性:3方向が壁に覆われていて屋根がある
- 用途性:駐車場として利用できる状態
インナーガレージは基礎が土地へ定着していて、雨風を防ぐためにシャッターを除く三方の壁と天井に囲まれていますよね。
基本的にインナーガレージは3つの条件を満たすので、固定資産税がかかると覚えておくといいでしょう。
逆に、カーポートのように周囲が壁に覆われていない車庫は、建築物とはみなされないため固定資産税の対象にはなりません。
ちなみに、建物の固定資産税は、課税標準額に税率をかけた額が課税されます。
- 固定資産税課税標準額 × 1.4%(標準税率)
具体的な計算方法は次章で紹介していますので、参考にしてみてくださいね。
インナーガレージをつくると固定資産税が高くなる?
インナーガレージをつくると建物の資産価値が上昇し、固定資産税が高くなるという噂も多いです。
確かに、インナーガレージをつくるために別途費用がかかった場合は、その分固定資産税が高くなる可能性はあります。
しかし、どれくらい高くなるかはケースバイケースのため、仕組みをチェックしておきましょう。
固定資産税のベースとなる評価額は、総務大臣が定めた固定資産税評価基準に基づき各自治体が決定したものです。
具体的には、建物に使用した建材や工事ごとに決められた評価点を積み上げ、再建築費用を求めて補正率をかけて求められます。
一般的には建築価格の60%前後が目安と言われていますが、自治体の判断によって評価額は変動しますので、あくまで目安として覚えておきましょう。
具体的にインナーガレージ付きの建物の固定資産税額を計算してみましょう。
インナーガレージ部分の建築に200万円かかった場合を想定します。
まずは、建築費用を基にインナーガレージ部分の評価額を算出します。
- 建築費用200万円 × 60% = 評価額120万円
一般的な建物は評価額に税率をかけるだけですが、新築住宅は一定条件を満たせば5年間評価額が1/2に軽減される特例があります。
- 評価額120万円 × 1/2= 60万円
つまり、今回のインナーガレージは評価額が60万円とみなされます。
特例適用後の評価額に税率をかけて、固定資産税額を算出しましょう。
- 60万円 × 税率1.4% = 固定資産税額8,400円
インナーガレージの建築に200万円かかった場合、新築から5年間の固定資産税額は年間8,400円です。
この金額が住居部分の固定資産税に上乗せされます。
新築の軽減措置は5年間で切れますが、固定資産税評価額は3年に一度見直されるため、5年後の負担が単純計算で倍になるわけではありません。
基本的に建物は、年月が経つごとに資産価値が低減されると考えられているため、固定資産税額も下がっていきます。
利便性や愛車を守れるなどインナーガレージのメリットを考えると、固定資産税はそれほど大きな負担にならないと感じる方も少なくないのではないでしょうか。
インナーガレージの広さやシャッターなどの設備、自治体の判断によっても評価額は変わりますので、目安として考えてみてくださいね。
固定資産税がかからないガレージのつくり方は?
固定資産税の負担が気になる場合は、インナーガレージに決め打ちせず、次のような方法を検討してもいいかもしれません。
【固定資産税がかからないガレージ】
- 青空駐車場(屋根や壁がない駐車スペース)
- カーポート
- 基礎のないプレハブ小屋やバイクガレージ
上記のようなガレージなら、固定資産税がかからない可能性があります。
敷地面積に余裕があればつくりやすいですし、インナーガレージ分の面積を居住スペースや収納に回せるのもメリットです。
ただし、プレハブや独立ガレージでも、基礎をつくると定着性があると判断されることもあります。
定着性がある建築物とみなされた場合、固定資産税の課税対象になるため注意が必要です。
また、新築を建てた後でインナーガレージを増築した場合も、固定資産税はかかる点も覚えておきましょう。
容積率の緩和措置で固定資産税は安くならない
インナーガレージは、一定の条件を満たせば容積率の緩和措置の対象となり、延床面積の参入から除外できるという特例があります。
しかし、固定資産税とは関係ないので注意が必要です。
【容積率の緩和措置】
- インナーガレージの面積が延床面積の1/5未満の場合、容積率の計算から除外できる
仮に容積率の上限が200㎡の土地について考えてみましょう。
特例がない場合、インナーガレージを含めて200㎡以下の建物を建てなければなりません。
対して特例が適用されれば、インナーガレージの面積を40㎡以下にすることで、居住スペースだけで200㎡まで設計することができます。
広々とした居住スペースをプランニングできますし、敷地も有効的に活用することが可能です。
ただし、あくまで容積率の計算から除外されるだけで、固定資産税の課税対象なのは変わりません。
「容積率の緩和措置」と「固定資産税の軽減措置」が混同しないよう注意しましょう。
インナーガレージはコストと利便性のバランスが重要
固定資産税は毎年かかるランニングコストなので、できれば安く抑えたいですよね。
しかし、コストダウンを重視しすぎてインナーガレージをつくり、利便性が犠牲になっては本末転倒です。
インナーガレージのコストを抑えたいなら、次のような方法を取り入れてみても良いでしょう。
- シャッターや窓を付けないオープンガレージにする
- 床面はシンプルなコンクリート仕上げにする
- 外壁と同じ建材で仕上げて材料の無駄をなくす
インナーガレージ自体の建築費用を抑えれば、建物の評価額が低くなり、毎年の固定資産税も押さえられる可能性があります。
しかし、ただ家の中に車を停められるだけのインナーガレージは、使いにくさや音などの問題で後悔するリスクも。
例えば、手動シャッターは低コストですが、作動音がうるさく開け閉めも面倒です。
車を使う時間帯や頻度、子ども部屋・寝室との位置関係によっては、リモコンで静かに開け閉めできる電動シャッターの方が便利かもしれません。
また、排気ガスによるニオイや健康被害など、インナーガレージのデメリットにも対策しなければなりません。
ほかにも後悔しやすいポイントがありますので、下記のコラムも参考にしながらコストと使い勝手のバランスを考えてインナーガレージを採用しましょう。
▷関連コラム:ビルトインガレージの後悔例と対策|音・費用・使い勝手など
まとめ
インナーガレージは延床面積に含まれ、建物の一部としてみなされるため、固定資産税がかかります。
事前に計算すればおおよその税額を予想することは可能ですので、支払いが負担になりそうかチェックしてみましょう。
インナーガレージは、利便性やデザイン性などのメリットと、建築費用や固定資産税などの費用面のバランスを取って検討することがポイントです。
ガレージハウスの実績が多い住宅会社に相談し、コストカットできる部分を検討しつつ、満足の行くインナーガレージをつくってくださいね。
ハグデザインは、インナーガレージの施工実績が多数あり、一級建築士が使いやすさ・デザイン性・コスト面に配慮した空間提案をしております。
インナーガレージの固定資産税についても詳しくご説明しますので、ぜひお気軽にご相談くださいね。