新築時に太陽光発電システムを採用したいが、何キロのせるべきなのか分からないという方もいるでしょう。
住宅会社によって4kw程度で十分という意見もあれば、10kw以上の大容量を提案されることもありますよね。
どちらも間違いというわけではありませんが、太陽光発電の容量を決めるときは目的に合った適切なkw数を選ぶことが大切です。
そこで、今回は目的別に太陽光発電は何キロのせるべきかを解説します。
<コラムのポイント>
- 一般住宅の場合、太陽光発電は4~6kw程度が一般的です。
- 4~5kwあれば昼間の消費電力分は発電しますし、余剰電力を売電することもできます。
- 近年電気代が高騰しているため、蓄電池などと組み合わせて「電気を買わない暮らし」を考えることも大切です。
Contents
太陽光発電システムは目的によってのせる容量を決めよう
▷施工事例:群馬県前橋市新築注文住宅|太陽光+蓄電池+V2Hのスマートハウス
新築時に太陽光発電システムを導入するなら、採用する目的を明確にすることが大切です。
電気代を抑えたいという目的や災害時に備えてなど、さまざまな思いがありますよね。
なぜ太陽光発電システムを採用したいかによって、のせるべき容量は異なります。
目的別におすすめの容量を確認しましょう。
目的① 電気代を抑えたい
- おすすめの容量:4~5kw程度
家で使う分の電気を発電して、電気代を抑えたいなら4~5kwの容量をおすすめします。
なぜなら一般的な家庭で消費している1ヵ月の電力量は、平均で250kwhほどしかないからです。
▷参考データ:一世帯あたりの電力消費量の推移 | 一般財団法人 日本原子力文化財団
1日あたりに換算すると、8.1~8.3kwh程度の電力を消費しています。
対して、1kwの太陽光発電システムは年間で1,000~1200kWh程度の発電量です。
▷参考データ:住宅用太陽光発電システムのメリット - JPEA 太陽光発電協会
1日あたりに換算すると、2.7~3.3kWh程度の発電が可能です。
【4~5kwのせたときの発電量】
- 4kwの発電量:10.8~13.2kwh程度
- 5kwの発電量:13.5~16.5kwh程度
太陽光発電が4~5kw分あれば、一般家庭の電気消費量は十分にまかなえることがわかります。
蓄電池がない場合は昼間に余剰電力を売電し、夜間は電気を購入する必要があります。
電気の購入費用と売電の金額をシミュレーションし、差し引きして電気代が下がっているかを確認することが大切です。
ちなみに、こちらの住まいでは南面の屋根に5kwの太陽光発電システムがのっています。
▷施工事例|群馬県伊勢崎市新築注文住宅|スバル360と暮らす家
お引渡しから10年が経ちましたが、売電分も合わせると電気の自給自足100%を達成したとのご報告も受けています。
目的② 停電時にも発電した電力を使いたい
- おすすめの容量:4~5kw程度
災害時などの停電に備えて、太陽光発電システムを採用したいと考える方もいますよね。
大規模な地震や水災などで、長期間の停電してしまうケースもあるため必要な備えです。
基本的には「目的① 電気代を抑えたい」と同様に、4~5kwの容量があれば十分でしょう。
蓄電池などと組み合わせず太陽光発電システムのみの場合、停電時は発電している分だけ電気を使うことができます。
そのため1kw前後の電力量があれば、昼間は問題なく生活可能です。
また、停電していて太陽光発電の自立運転している場合、同時に使える電気は1.5kwまでです。
どんなに多くの容量をのせても、停電時に使える電気量は決まっています。
電気ヒーターや電子レンジなどは電力の使用量が多いため、停電時は使う家電の優先順位を考えることが大切です。
目的③ 蓄電池、V2Hも採用したい
- おすすめの容量:5~6kw程度(太陽光発電)、7~10kwh程度(蓄電池)
蓄電池やV2Hを採用するなら、太陽光発電は5~6kw程度、蓄電池は7~10kw程度の容量をおすすめします。
先ほど、1kwあたりの発電量が2.7~3.3kWh/日程度とお伝えしました。
5~6kwの太陽光発電であれば、1日13.5~19.8kwhの発電量です。
1日あたり8.1~8.3kwh程度の電力消費があると考えると、余った5~11kwh程度の電力を溜めておくことができます。
そのため、7~10kwh程度の容量がある蓄電池なら、余った電力を無駄なく溜めることが可能です。
容量の大きな蓄電池は初期費用が高いところが悩みどころですよね。
しかし、年々電気代が高騰しているため、長い目で見ると大容量の蓄電池の方がメリットが生まれる可能性も十分に考えられます。
6kw程度の太陽光発電なら、パワーコンディショナーが1台で済む太陽光メーカーがほとんどです。
初期費用やメンテンナンス費用、設置スペースを考えると、パワーコンディショナー1台で接続できるパネル容量を選ぶことをおすすめします。
こちらは、太陽光+蓄電池+V2Hのスマートハウスの事例です。
太陽光発電システムで電気を創り、蓄電池で電気を溜めることで「電気を買わない家」を実現。
また、V2Hも導入することで災害時の回復力「レジリエンス性能」を持たせています。
こちらは見学可能なハグデザインの展示場です。
電気を買わない生活に興味がある方は、ぜひお気軽にご来場ください。
10kw以上の容量は必要ないのか
家で使う電気を発電するためだけなら、10kw以上の容量は必要ありません。
基本的に、10kw以上の太陽光発電を採用する場合、「売電価格で収入を得たい」という目的の方がほとんどだと思います。
2019年度以前のFIT制度では、10kw以上の太陽光発電は「全量買取」も選択できるという仕組みでした。
つまり、発電したすべての電気を売ることができたのです。
全量買取は余剰買取よりも買取期間が10年長かったため、収入を得る目的で10kw以上の大容量の太陽光発電の需要がありました。
しかし、2020年からは制度が変更され、基本的には10kw以上の太陽光発電でも全量買取を選択できなくなりました。
現在は10kwでも9kwでも売電の条件は同じため、10kw以上にこだわる必要はなくなりました。
そのため、10kw以上の容量は不要というわけではないですが、以前ほどの旨味はないと言えるでしょう。
家での電力消費量や蓄電池の容量などを考えながら、必要な容量を決めることが大切です。
太陽光発電の容量を多くするメリット・デメリット
▷施工事例:群馬県前橋市新築注文住宅|HEAT20 G2classの家
太陽光発電システムの容量を多くするメリットとデメリットを紹介します。
メリット
太陽光発電システムの容量を多くするメリットは次の3点です。
- 売電量が増える
- 蓄電池も採用すれば夜間も電気を買う必要がない
- 将来蓄電池を採用しても十分な発電量を確保できる
売電価格が下がっているとはいえ、まだ電気を売れる状況であることは間違いありません。
【2024年度の売電価格】
- 10kw未満:16円/kwh(税込)
- 10~50kW未満:10円/kwh(税抜)
容量を増やすほど発電量は増えるため、売電できる電気量も多くなります。
ただし、現在は売るよりも買う電気の価格の方が高いため、発電した電力は溜めて自家消費をした方がお得です。
太陽光発電の容量を多くするなら蓄電池を導入して、夜間分の電力も十分に溜めておくことをおすすめします。
デメリット
太陽光発電システムの容量を多くするデメリットは次の4点です。
- 初期費用がかかる
- パワーコンディショナーの台数が増える
- メンテナンスコストがかかる
- 屋根形状が限られる
太陽光発電システムは容量が増えるほど、初期費用が高くなります。
パネルの枚数やパワーコンディショナーの数も増えますからね。
パネル容量が大きすぎると、パワーコンディショナーを2台設置しなければなりません。
現在は売電によって得られる収入が少なくなってきているため、容量を多くしても固定買取期間の10年間で初期費用分が回収できないケースも。
また、パネルやパワーコンディショナーの数が多い分、交換やメンテナンス時の費用もかかります。
太陽パネルは日差しが当たる向きに施工しなければならないため、大容量をのせるためには屋根形状が限られます。
シンプルや切妻屋根や片流れ屋根しか選択できないケースもありますので注意しましょう。
まとめ
一般住宅なら、太陽光発電システムは4~6kw程度の容量がおすすめです。
近年電気代が高騰しており、太陽光で発電した電気は「売る」より「自家消費」した方がお得になっています。
蓄電池やV2Hも導入してエコでお得な生活、また災害時にも安心な住まいを手に入れましょう。
ハグデザインは10年後、20年後、30年後‥と、それぞれの節目に「この家にしてよかったな」と思ってもらえることが家づくりをする上でのテーマです。
スマートハウスをデザイン化する設計事務所として、太陽光発電・蓄電池・V2Hのご提案も積極的に行っております。
電気を買わない暮らしが気になるという方は、ぜひお気軽にご相談くださいね。