ヒートショックは冬場に起こりやすいイメージをお持ちの方が多いと思いますが、夏場も油断してはいけません。
血圧が乱高下することでヒートショックは起こるため、室内の温度差を少なくすることがポイントです。
そこで今回は、冬場・夏場に起こり得るヒートショックの事例を紹介し、住まいに取り入れるべき対策をご紹介します。
ヒートショックの症状や影響しやすい温度差の目安などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
<コラムのポイント>
- ヒートショックとは血圧の乱高下によって引き起こされる健康被害のことです。
- 冬場の入浴時にヒートショックが起こるケースが多いですが、夏場でも温度差によって体調に影響が出ることもあります。
- 住まいの断熱性能を高めたり温度差をなくす工夫を取り入れたりして、ヒートショックが起こりにくい環境を整えましょう。
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Contents
ヒートショックとは
ヒートショックとは、血圧が急激に上がったり下がったりする際に起こる、身体の不調を引き起こす健康リスクのことです。
人間の身体は、血圧を調節することで温度変化に対応してます。
- 通常時:血管の収縮がなく安定した血圧
- 寒いとき:血管を細めて血圧を高め、熱を逃がさないようする
- 暑いとき:血管を緩めて血圧を下げ、熱を逃がそうとする
急激な温度変化によって血圧の乱高下が起こると、脳への血流が減少して健康被害を及ぼすことがあります。
ヒートショックの症状
ヒートショックには次のような症状があります。
- めまい
- 吐き気
- 頭痛
- 倦怠感
- 動悸
さらに症状が重いと、意識障害や心肺停止する可能性もあるため、非常に危険です。
繰り返しのヒートショックによって心臓や脳に負担が掛かり、脳内出血・心筋梗塞・脳梗塞などの重篤な病気になるリスクも高まります。
影響を受けやすい方の特徴
次の内容に該当する方は、特にヒートショックの影響を受けやすいとされているため注意が必要です。
- 高齢者の方
- 高血圧な方
- 生活習慣病の方
上記の方は、血管が硬くなっている傾向にあり、血圧が変動しやすいと言われています。
その他にも、飲酒時や水分補給が不十分なとき、高温のお湯を好む方なども注意が必要です。
冬場にヒートショックが起こる事例
※弊社の施工事例ではありません。
ヒートショックが起こりやすい冬場ですが、どのようなタイミングで起こるのでしょうか。
具体的な事例とヒートショックが起こる原因を解説します。
寒い脱衣所から暖かいお風呂へ
ヒートショックが最も起こりやすいのは、冬場の浴室です。
入浴時には、次のような血圧の変動が起こります。
- 暖かい部屋で過ごす【血圧は正常】
- 寒い脱衣所で服を脱ぐ【血圧が上昇する】
- 裸でさらに冷えた浴室へ【血圧がさらに上昇する】
- 熱い湯船につかる【血圧が急激に低下】
短時間で血圧が乱高下するため、脳や心臓に大きな負担がかかり、ヒートショックにつながります。
高齢者の浴槽内での死亡者数は交通事故の約2倍との報告もあるため、十分に気を付けなければなりません。
参考:交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意! | 政府広報オンライン
暖かいリビングから寒い玄関へ
暖房の効いた暖かいリビングから寒い空間へ移動するタイミングで起こることもあります。
玄関・廊下・トイレなどには暖房器具がない住まいがほとんどですよね。
断熱性能が低い住まいでは、暖房していない空間は外気とほとんど同じ室温になります。
そのため、暖房の効いた部屋との温度差が生じやすく、血圧に変動が生まれやすいです。
夏場のヒートショックが起こる事例
※弊社の施工事例ではありません。
ヒートショックは冬場に起こるイメージをお持ちの方が多いと思いますが、実は夏場もリスクがあります。
具体的な事例を紹介しましょう。
冷房が効いたリビングから2階の暑い寝室へ
冷房が効いたリビングから、高温になっている2階の部屋などに移動する際に、ヒートショックになるリスクがあります。
2階は1階よりも高温になりやすく、常時冷房を付けているご家庭は少ないですよね。
真夏は40℃近い室温になっているケースもあるため、急激な血圧の変動が起こりやすくなります。
屋外から冷房の効いた自宅へ帰宅したとき
真夏の屋外で過ごして冷房した自宅へ帰宅したときにも、ヒートショックになるケースがあります。
夏場は室内を快適に保つために、外出時も冷房をつけたままにしているご家庭も多いですよね。
温度設定の方法によりますが、人がいない室内は冷房が効きやすくなるため、必要以上に涼しくなった部屋に入って血圧の乱高下を起こすこともあります。
また、帰宅後に洗面所やトイレなどに行き、涼しい部屋と高温の空間を行き来するタイミングも注意が必要です。
どのくらいの温度差でヒートショックが起こるのか
急激な温度変化とは、どのくらいの温度差なのか気になる方もいるでしょう。
ヒートショックが起こりやすい温度差の目安は「10℃以上」とされています。
冬場は20℃程度の温度設定で暖房している方が多いと思いますが、空調がない空間が10℃以下になっていることは珍しくありません。
また、外気が35℃を超える夏場は、冷房された室内との温度差が10℃以上になることも多いです。
つまり、夏と冬どちらもヒートショックが起こり得る環境になっていることがわかります。
家づくりで採用したヒートショック対策
住まいに取り入れられるヒートショック対策をご紹介します。
住まい全体の断熱性・気密性を高める
住まい全体の断熱性を高めて、夏場は熱が入らず冬場は逃げない住まいにすることがポイントです。
断熱性を高めるには、次のような方法があります。
- 質の高い断熱材を適切な厚み・方法で施工する
- サッシの断熱性を高める
- 断熱性能の高い玄関ドアを採用する
- 窓の大きさや数を調整する
断熱性能の高い断熱材・サッシ・玄関ドアで建物を囲うことで、外気の影響を受けにくい家になります。
ベースとなる家の断熱性能を高めておかないと、この後ご紹介する対策を実践しても効果が得られません。
断熱性能の高い住まいについては、こちらのコラムでご紹介しておりますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
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全館空調で家全体を冷暖房する
室内の温度差を減らすためには、断熱・気密性を高めることに加えて、家全体を冷暖房することも大切なポイントです。
どんなに高気密高断熱住宅でも、冷暖房しなければ快適な室温になりません。
換気と空調を組み合わせた「全館空調システム」を取り入れることで、適温の空気が家中に行きわたります。
【夏場の全館空調】
【冬場の全館空調】
住宅会社によって扱っている全館空調は異なり、中には対応できない住宅会社もあります。
高効率で快適性の高い全館空調を取り入れている会社に依頼することがポイントです。
▷関連コラム:全館空調はやめたほうがいいと言われる8つの理由と対策|後悔しないためのポイントも
ハグデザインでは、空気圧と熱交換を利用した、省エネで高効率な全館空調システムを採用しております。
温度差のない住まいにご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。
開放的な間取りで温度差の少ない家に
全館空調のように家全体を空調する家にするなら、開放的な間取りを採用することをおすすめします。
なぜなら、空間同士がつながっている間取りの方が、空気が循環しやすくて冷暖房効率が上がるからです。
吹き抜けや廊下や仕切りの少ない間取りなどを採用し、快適な温度の空気が行きわたりやすいような環境をつくりましょう。
暖房機能付のお風呂を採用する
ヒートショックが最も起こりやすいと言われているお風呂には、個別の対策を取ることをおすすめします。
具体的には、浴室暖房機能付きのユニットバスを採用することです。
入浴前に暖房を点けておくことで入浴時の体温の低下を防ぐことができます。
浴室のドアを開けておけば脱衣所まで暖めることが可能ですので、ヒートショック対策に欠かせない設備です。
パッシブデザイン設計を取り入れる
住まいの設計にパッシブデザインを取り入れることも、ヒートショック対策の1つとして挙げられます。
パッシブデザインとは、太陽光や風などの自然の力を活用して、住まいの快適性を高める設計手法のことです。
【夏場のパッシブデザイン】
【冬場のパッシブデザイン】
機械による冷暖房に加えて、自然の力を取り入れることで、より室内の温度差を軽減させることができます。
▷関連コラム:パッシブデザインとは?メリット・デメリットと建築事例、設計のポイントをご紹介
パッシブデザインは、立地や周辺環境を考慮したプランニングが必要なため、設計力が求められる手法です。
ハグデザインでは、一級建築士が現地調査やシュミレーションを実施した上で、効果的なパッシブデザインの住まいをご提案しております。
ヒートショック対策をした、質の高い住まいを建てたい方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
まとめ
室内の温度差を少なくすることで、ヒートショックのリスクを軽減させることができます。
住まいの断熱性を高め、全館空調などで部屋同士の温度差を減らすなどの対策が効果的です。
設計・施工力のある住宅会社に相談し、家族の健康を守る住まいをつくりましょう。
ハグデザインは、一級建築士によるお住まいになる方の暮らしを考えた提案をしております。
ヒートショック対策にもなる高気密高断熱で温度差の少ない住まいをご提案しておりますので、お気軽にご相談ください。